手間いらずとは?
手間いらず株式会社は、メディア事業とアプリケーション事業を行っている会社です。
祖業はメディア事業である比較.comとなっておりますが、現在では、アプリケーション事業のTEMAIRAZUという宿泊施設向けのシステム提供がメインの会社となっています。
この会社は営業利益率が70%となっており、驚異的な数字です。
創業者と会社の沿革について
創業者について
創業者は「渡邉 哲夫」氏。
・慶応義塾大学卒業
・CSKベンチャーキャピタル入社
・2003年8月に比較.com株式会社を設立
・2006年、設立2年7か月で東証マザーズ上場
・2020年3月、東京証券取引所一部へ市場変更
もともと比較.comは旅行好きだった渡邉氏が、マイレージサービスを比較するサイトを個人的に立ち上げたことがきっかけとなったようです。
そこから、総合的な比較サイトを提供しようと考え、比較.comを立ち上げるに至ったようです。
渡邉氏の起業の動機としては下記のとおりです。
大きな志というよりも、知的好奇心を満たしたく始めたように感じます。
・ベンチャーキャピタルの仕事を通して、自分でビジネスをやりたくなった
・多くの経営者と会って、自分で経験したら学ぶことがもっと多いと感じた
また、渡邉氏は設立当初の下記の方針で運営をしています。
・オフィスや備品などにかかるコストを徹底して削減
・リターンの取れる広告宣伝や人材には投資を惜しまない
・独立性を保ち、買収リスクを低くするために外部資本は入れない
現在に至るまで
そして、結果として設立から2年半後の2006年3月に東証マザーズ上場します。その際、得た資金で複数の会社を買収しました。
その中に有限会社プラスアルファという会社がありました。この会社は宿泊施設に向けて、各種予約サイトへの情報提供管理をするソフト「手間いらず」を提供していました。
これはまさに現在の成長ドライバーになっている事業です。2009年に比較.comに吸収合併しました。しかも、2008年時点には、すでに祖業である比較.comに迫る約3億円の売上が計上されていました。
その後は、右肩上がりに業績を伸ばしていき、2017年10月に「手間いらず株式会社」に社名を変更しました。
商品は?
手間いらず株式会社の事業は下記の2つです。
・比較.comの運営
・予約サイトコントローラーの「TEMAIRAZU」の開発、提供
比較.com
まずは比較.comについてですが、これは大手モールサイト間で最安値の商品などが検索できるメディアサービスです。
TEMAIRAZU
次にTEMAIRAZUに関してですが、宿泊事業者向けに様々な媒体からの予約を一括管理するシステムです。
業界では、これをサイトコントローラーと呼んでいます。
手間いらずのホームページを確認すると、このサイトコントローラー市場においては2020年1月時点において、トップの実績を誇るようです。
業績について
・前期(19年/6月期)
売上高:13億円
営業利益:8億円
・今期(20年/6月期)
売上高:16億円(21.5%増加)
営業利益:11億円(31.7%増加)
・来期予想(21年/6月期)
売上:16億円(1.9%増加)
営業利益:11億円(1.7%増加)
来期予想については、アプリ事業に関してはコロナウィルスの影響もあり、弱い推移を予想。対して、ネットメディア事業については、時勢がネット通販事業の追い風となっているため、好調に推移することを予想している。
ただし、セグメント別の割合は下記の通りであるため、アプリ事業の動きが非常に重要であると考えられる。
・前期
アプリ事業:売上高13億円、セグメント利益9億円
メディア事業:売上0.3億円、セグメント利益0.1億円
・今期
アプリ事業:売上高16億円、同利益12億円
メディア事業:売上高0.4億円、同利益0.3億円
サイトコントローラーとは?
サイトコントローラーと言われても良くわからない方が大半じゃないでしょうか。僕は間違いなくその人です。初耳という方もいるかと思いますので、下記にまとめてみます。
サイトコントローラーは、様々な宿泊予約サイトからの予約を一括管理するシステムのことを指します。
宿泊事業者にとって、予約を増やすためには消費者の目に留まるように露出を増やさなくてはなりません。
例えば、自社サイト、じゃらん、booking.comなどに宿泊施設を掲載し、集客・予約受付を行います。
その際、様々なサイトから予約を個別に管理していると、もう予約が埋まっているのに受付をしてしまうという状況が発生してしまいます。これはクレームにつながってしまい、事業者は避けたいものです。また、価格の管理なども同様です。
これら個別に管理することで生じていた課題を一つのシステムで対応することで、解決するものがサイトコントローラーです。
ビジネスモデルは?
メディア事業に関しては、見積もり請求や申込などのネットユーザーのアクションを通して、広告主から広告掲載料をもらうビジネス。
TEMAIRAZU事業(アプリ)に関しては、宿泊事業者からシステム利用料を毎月もらうビジネスとなっています。
そのため、アプリ事業は定期的にキャッシュフローの入ってくるビジネスとなっており、安定性の高いビジネスと言えます。しかし、現在のコロナウィルス流行の時勢もあり、アプリ事業の勢いが衰えている状況です。
どのような競合がいるのか?
宿泊施設向けにサイトコントローラーを提供している主な企業は下記の通り。
・TLリンカーン(株式会社シーナッツ)
株式会社リクルートホールディングスと株式会社JTBの資本あり。
・ねっぱん!(株式会社クリップス)
楽天のグループ会社。
・らく通with(鉄道情報システム株式会社)
株主に東日本旅客鉄道株式会社など。
・ルーム・マネージャー(有限会社ペン・システム)
ASPシステム開発会社が提供。
商品そのものにどのような違いがるのかはさらに深堀しなくてはなりませんが、一旦はこのあたりで止めようと思います。(余裕があるときにさらに深堀します)
株価について
現在は、株価が4260円、時価総額が275億円となっています。
まとめ
以上、簡単ですが、ここまで研究を進めてみました。なんとか、手間いらず株式会社の概要を掴めた状況ならうれしいと思います。さらに、研究を進める際は、外部環境の分析や手間いらずのコアコンピタンスなどを分析できればと考えています。
まだ、結論は言えませんが所感として、コロナウィルスの先行きが見えた段階で業績の伸びも戻るのではないかと感じています。それに伴って、株価も上がるかなと。
ただし、現時点で先行きは不透明であるため、当社の安定性などの分析も必要かなと思いました。今回はそこまで深堀して分析ができませんでしたが、次の機会に挑戦したいと思います。
参考情報
渡邉哲男氏 (比較.com株式会社) | 転職サイト[PROSEEK] 仕事のモチベーション
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