サイバーセキュリティクラウドとは?
株式会社サイバーセキュリティクラウドは、その名の通り、サイバーセキュリティのサービスを提供している会社です。
特に、「攻撃遮断くん」というSaaS型のサービスを提供しており、クライアント数は拡大の一途をたどっています。
また、事業領域を「サイバーセキュリティ」×「AI(人工知能)」としており、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を想像する」というビジョンを掲げて事業を展開しています。
現代表取締役社長は大野暉(おおの ひかる)氏です。
つい最近の2020年3月に新しくマザーズに上場(IPO)した会社です。
詳しくは、下記に沿革をまとめましたので、ご覧ください。
サイバーセキュリティクラウドの沿革
年月 | 項目 |
2010年8月 | 東京都渋谷区に「株式会社アミティエ」を設立 |
2013年1月 | Webセキュリティ事業開始 |
2013年12月 | クラウド型WAF「攻撃遮断くん」 サーバセキュリティタイプ」提供開始 |
2014年10月 | 商号を「株式会社サイバーセキュリティクラウド」に変更 |
2016年3月 | Web改ざん検知サービス「Web改ざん発券くん」提供開始 |
2016年8月 | DDoS攻撃対策のサービス「攻撃遮断くん DDoSセキュリティタイプ」提供開始 |
2016年10月 | サイバー保険の自動付帯を開始 |
2017年12月 | AWS WAFのルール自動運用サービスの「WafCharm」提供開始 |
2018年7月 | クラウド型WAFにおける外部からの攻撃に対する防御ルールに関連する特許「ファイアウォール装置」を取得 |
2018年9月 | Cyber Security Cloud Inc.(米国法人)設立 |
2019年2月 | 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC27001」の認証を取得 |
2020年3月 | 東京証券取引所マザーズに株式を上場(IPO) |
創業者について
現在では大野暉氏(現代表)による運営が行われているサイバーセキュリティクラウドですが、創業時には株式会社アミティエという名で活動していました。
その株式会社アミティエの創業者は横田武志氏(元代表)です。
後述しますが、横田氏は大株主欄に名前がありません。
また、取締役のメンバーとしても名前を連ねていない状況です。
そのため、上場(IPO)する以前のいずれかの段階で株式譲渡をしたのか、もともと他人資本による創業だったのかいずれかだったのではないかと予想します。
現代表取締役の大野暉氏はどのような人物か?
大野暉氏の経歴を大まかにまとめていきます。
・早稲田大学高等学院卒業
・早稲田大学卒業
・16歳より個人事業主として起業家人生をスタート
・18歳に環境事業を手掛ける株式会社ユニエフェクトを創業、事業譲渡
・スターフェスティバル株式会社に入社(飲食店のEC支援)
・2016年、株式会社サイバーセキュリティクラウドの代表取締役に就任
若い時からビジネスと関わり合っている様子が見受けられます。
また、若くして一定の実績を積んでいたことから、組織運営などの面であまり上手くいかない時期があったとのことです。
そして、修行の名目で、株式会社スターフェスティバルで会社員として働きました。
その後、元代表の横田氏と代わり、サイバーセキュリティクラウドの代表取締役に就任しています。
下記の株主構成の欄で述べていますが、大野氏は代表取締役だけではなく、株主でもあります。現在、発行済株式総数の5.41%を保有しています。
今の時価総額は496億円なので、およそ27億円のまで資産価値が上昇していることが分かります。
株主構成
氏名又は名称 | 所有株式数 | 所有割合 |
Vector Group International Limited | 383,000 | 17.14% |
株式会社オークファン | 333,000 | 14.90% |
GMCM Venture Capital Partners I Inc | 307,000 | 13.74% |
西江肇司 | 218,000 | 9.75% |
武永修一 | 148,000 | 6.62% |
大野暉 | 121,000 | 5.41% |
海老根智仁 | 97,000 | 4.34% |
B Dash Fund 3号投資事業有限責任組合 | 87,000 | 3.89% |
株式会社AMBITION | 67,000 | 3.00% |
S173株式会社 | 59,000 | 2.64% |
※発行済株式総数:9,105,670株(2020年7月付で1:4の株式分割を行っています)
現在までの資金調達状況
時期 | 出資額 | 出資元 |
2014年7月 | 20百万円 | 出資元不明(個人投資家2名) |
2015年10月 | 76百万円 | MBITION、SBIインベストメント、イプシロン・グループ、リアルワールド、レジェンド・パートナーズ |
2015年11月 | 23百万円 | SBIインベストメント |
2016年4月 | 15百万円 | ブランデックス、山野愛子どろんこ美容.com |
2017年12月 | 195百万円 | B Dash Ventures、グリー、マイナビ |
※出典:START UP DBより
こちらには記載がなく、どのタイミングで出資したのか不明ではありますが、株式会社ベクトル&西江氏(代表)も上場前から出資していることが西江氏のフェイスブックなどで分かります。また、株式会社オークファン&武永氏(代表)についても上場前から出資していた様子が見受けられます。
当社出資先である株式会社サイバーセキュリティクラウドの 東証マザーズ上場のお知らせ|株式会社オークファンのプレスリリース
業績について
PL(損益計算書)について
決算年月 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 |
売上高 | 246,957 | 488,838 | 816,497 |
売上原価 | 72,949 | 147,448 | 232,638 |
売上原価率 | 30% | 30% | 28% |
売上総利益 | 174,007 | 341,389 | 583,859 |
売上総利益率 | 70% | 70% | 72% |
販売費及び一般管理費 | 216,294 | 370,481 | 439,887 |
営業損益 | ▲42,287 | ▲29,091 | 143,971 |
営業利益率 | - | - | 18% |
営業外収益 | 72 | 1,883 | 1,773 |
営業外費用 | 4,626 | 317 | 3,794 |
経常損益 | ▲46,840 | ▲27,525 | 141,950 |
特別損失 | 5,125 | - | - |
税引前当期純損益 | ▲51,966 | ▲27,525 | 141,950 |
当期純損益 | ▲52,256 | ▲27,794 | 153,774 |
単位:千円
ストックが積み上がり、2019年に1.4億円の黒字化を達成している状況です。
コロナ禍でサイバー攻撃が増加したことで、2020年6月の受注額が過去最高額となりました。今も業績を伸ばし続けており、第二四半期の売上高・営業利益ともに順調です。
また、ビッグデータ活用に向けた提携などを行い、新規ビジネスへの取組も行っている状況です。
■Q2累計&KPI
・売上高:5.4億円(前年同期比+50.2%)
・営業利益:1億円(前年同期比+43.8%)
・ARR:11.2億円(前年同期比+46.8%)
次に、商品やビジネスモデルについて確認してみましょう。
商品は?
※出典:㈱サイバーセキュリティクラウド 2020年第二四半期決算説明資料
商品は下記の3つがあります。
・攻撃遮断くん(WEBサイトへのサイバー攻撃対応ソフト)
・Waf Charm(自動運用ツール)
・AWS WAF Managed Rules(ルールセット)
これらの商品は下記の被害を防止するために提供されています。
・サイバー攻撃による売上機会の損失
・ブランドイメージの既存
・損害賠償費用の発生
・個人情報の流出
・株価の下落
・株主代表の訴訟
商品別の売上高
2020年3月期の有報によると、「攻撃遮断くん」が売上高全体に占める割合は95.3%となっています。つまり、前期の売上高が8.1億円だったので、約8億円が「攻撃遮断くん」による売上となります。
上述したARRで考えると、11.2億円ですので約10.6億円が「攻撃遮断くん」のARRです。
また、MRRに直すと0.88億円となっており、約1億円毎月ストック収益として入ってくることが伺えます。
さらに、現在の契約者数が851社であるため、毎月のストック収益を単純計算すると1社あたり約10.3万円の収益となっているのかなと予想できます。
ビジネスモデルは?
ビジネスモデルはサブスクリプション型(月額課金)モデルとなっています。そのため、継続利用者を想定したビジネスとなっており、収益構造はストック収益の形での月額課金額とショット収益の初期導入費用、スポット費用で構成されています。
また、全体のうち96.7%が「攻撃遮断くん」の売上が占めている状況です。
さらに、注目すべきポイントとしては解約率です。なんと月次解約率は1.1%。これはとてつもない数字です。(次回、比較対象を提示したいと思います。)
今後の成長戦略は?
出典:サイバーセキュリティクラウド 決算説明資料
戦略軸として下記の3つを挙げています。
①テクノロジー戦略
・攻撃手法の研究
・R&D
・AI
②プロダクト戦略
・製品開発力
・品質
・ビッグデータ
③マーケット戦略
・サイバーセキュリティー
・グローバル
このような戦略軸を見てみると、製品力を高めて、今後はグローバルに打って出ることを考えているのが見受けられます。実際、国外のユーザー数は851ユーザーおり、一定の評価をもらっている状況のようです。
また、今後も市場全体が伸びていくことが予想されており、当社の業績も伸びるのではないかと考えられます。
narumi-yamauchi.hatenablog.com
株価は?
ちょうど本日、第二四半期の決算発表があり、業績が好調だったため、株価が12%も上昇しています。時価総額は496億円。
まとめ
まず、前回の記事でお伝えしたかもしれませんが、テンバガーを狙うなら、今後伸びそうな分野、且つ、IPOしたてで価格が下がっているタイミングに買うというもの。
narumi-yamauchi.hatenablog.com
今回のサイバーセキュリティクラウドについては、上場したてで、ビジネスモデルも安定性が見込めるストック型のビジネスとなっています。今後も株価は上昇を続けそうな感じがしますが、少し価格が高いかなという感覚があります。また、一株当たりの株価も中位株以上といった感じがしますので、買いにくさはあると思います。しかし、業界的には伸びることが見えているので、今後の動きに期待しつつ、私自身も商品や業績の深堀を行っていきたいと思います。以上となります。
参考情報
10代で借金→起業。サイバーセキュリティで世界に挑む28歳社長大野暉の異色経歴|Bizpedia
ToBeマガジン:株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役 大野 暉さん インタビュー | アクティブな貴方に元気をお届けする「ToBe マガジン」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4493/tdnet/1875891/00.pdf
※2020年8月14日投稿
※2020年8月15日追記
※2020年8月16日追記