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サイバーセキュリティの世界の市場規模と日本の市場規模についてまとめてみた


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サイバーセキュリティの国内市場規模と成長性

IDC Japan株式会社によると、下記のように市場規模が予想されています。

 

2018年→2023年の国内市場規模予測

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出典:国内情報セキュリティ市場予測を発表

 

・国内(ソフトウェアとアプライアンス製品)

2018年:国内市場規模2,510億円

 →2023年:3,934億円に拡大(CAGR3.2%)

・SaaS型セキュリティソフトウェア

 2018年:市場規模283億円

 →2023年:551億円に拡大(CAGR14.2%)

・セキュリティアプライアンス製品

 2018年:560億円

 →2023年:584億円に拡大(CAGR0.8%)

※ちなみに、アプライアンス製品とはソフトではなくハード製品のことを指します。

 

SaaS型セキュリティソフトウェア

国内サイバーセキュリティ市場の中で、特に成長性が高い市場は、SaaS型セキュリティソフトウェアとなっており、CAGR14.2%と予想されています。

 

このような予測に至った要因としては、下記を挙げています。

・オリンピックなどの国際イベントによって、サイバー攻撃の多発が見込まれること

・GDPRなどの海外データ保護規制が強化されること

・国内のデータ保護規制も強化されてくること

 

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展によって、クラウドサービスの活用増加に伴って、そのサービスそのものを安全に活用するためのサイバーセキュリティサービスへのニーズが高まることを予想しています。

 

国内市場の特徴

以前、日本企業はサイバーセキュリティーに対して、投資ではなく費用と捉える意見が多数を占めていました。

現在でも多数なのに変わりはありませんが、近年、市場の伸びから考えても、日本でもサイバーセキュリティに対する危機感は高まっていると言えるでしょう。

このような中、AIを活かしたウィルス検知・サイバー保険などの新サービスが増えてきています。

 

外資参入
発表日 企業名 国籍
2020年6月 VDOO Connected Trust イスラエル
2020年2月 KnowBe4 米国
2019年12月 ケンブリッジ・クオンタム・コンピューティング・ジャパン 英国
2018年10月 SCADAfence イスラエル
2018年10月 Templarbit 米国
2018年9月 ESET スロバキア
2017年7月 Quarkslab フランス
2017年5月 シスコ 米国
2017年4月 アバスト チェコ
2017年3月 コロネットサイバーセキュリティ イスラエル
2017年2月 ダークトレース 英国
2017年1月 シュアバイン 英国
2017年1月 セキオン 米国
2016年10月 テレコム シンガポール
2016年8月 カーボンブラック 米国
2016年1月 サイバーリーズン イスラエル
2015年11月 プライスウォーターハウスクーパース 米国
2015年8月 イージー・ソリューションズ 米国
2015年7月 ダークトレース 英国
2015年2月 ダイサート 英国
2015年2月 シスコ 米国

出典:ジェトロのデータを基に、筆者が最新情報を更新

 

上記の表のとおり、日本のサイバーセキュリティ市場は、外資が日本のセキュリティ市場に続々と参入している状況です。

また、歴史ある企業の参入というよりも、創業して比較的日が浅い企業がサイバーセキュリティの分野の国内市場に参入しているのが特徴です。

対して、日本企業は、NTT、富士通、NECなど歴史ある企業がサイバーセキュリティ市場の主要なポジションを占めているのが大きな違いです。

日本のサイバーセキュリティ市場において、新興の日本企業はまだまだ存在感が薄い状況と言えそうです。

 

サイバーセキュリティの世界の市場規模

英語での市場規模に関するデータ多数見受けられますが、下記をご紹介します。

 

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出典:• Global cybersecurity market forecast 2017-2023 | Statista

 

世界のサイバーセキュリティ市場規模

・2018年:1,516億ドル(日本円にすると約15.1兆円)

 →2023年:2,482億ドル(日本円にすると約24.8兆円)

 

世界市場におけるサイバーリスク

B2C企業の場合、大規模なサイバー攻撃を受けたら顧客の情報が大量に漏洩することは想像に難くないでしょう。

また、海外ではサイバーセキュリティとプライバシーに対する消費者の認識や理解度が高いため、海外企業はサイバーセキュリティに対しての投資を強化せざるを得ない背景が存在しています。

経済的な影響に関しても、大手企業へのサイバー攻撃が発生した場合、関連する企業への業績にも影響し、経済全体に悪影響が発生する可能性があります。

一般消費者への影響として考えられるのは、インフラ設備への攻撃が最も影響力のあるサイバー攻撃として考えられます。

このようなリスクに対して、市場は非常に細分化された上で、サービスが提供されています。

 

 まとめ

全体感としては、サイバーセキュリティ市場は世界においても、日本においても成長が見込まれています。

また、コロナ禍という状況もサイバー攻撃の数に拍車をかけており、それに伴って、企業のサイバーセキュリティニーズは高まりを見せています。

しかし、世界市場と日本市場とでは消費者の意識も企業の意識も異なっています。

市場も細分化されており、どの商品群・市場が伸びるかどうかを国別や課題別でしっかりと見極めていく必要があります。

特に、日本においては、歴史ある企業がサイバーセキュリティ関連の主なサービスを提供しているという状況と比較的歴史の浅い外資が相次いで参入しているという状況から機動性を欠く日系企業のニーズの穴を外資が埋めている状況なのではないかと仮説できます。

このような状況ではありますが、裏を返せば日本でも歴史の浅い新興企業であっても、新しいニーズに沿う商品が提供できれば大きく拡大できる可能性が大いにあるとも考えられます。

特に最近では、日本の新興企業であるサイバーセキュリティクラウドが新規上場(IPO)を行い、業績を拡大している状況です。

 

narumi-yamauchi.hatenablog.com

 

参入障壁が非常に高く見える市場ですが、今後もこのような動きが増えてくることも考えられますし、まだ拾い切れていないニーズに対してまだまだチャンスのある市場であるとも考えられます。

以上、世界と日本のサイバーセキュリティの市場規模や成長性についてまとめた記事となります。