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金融政策の手段の伝統的な金融政策についての考察


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目次

はじめに

以前ご紹介した内容は金融政策とは何か?と言った内容でした。

そして、表面上の目的や真の目的について考察しました。

 

narumi-yamauchi.hatenablog.com

 

しかし、話が抽象的で、漠然としているので、

わかりにくい部分も多かったかと思います。

 

なので、

具体的なことについて考えていきたいと思います。

 

というのも、

今回は金融政策では具体的にどのような方法を使って、

金融政策の目的を達成するのか?

ということをテーマに考察を進めていきます。

 

 

金融政策の手段

金融政策には大きく分けて二つの手段があります。

・伝統的な金融政策 (traditional monetary policy)

・非伝統的な金融政策 (untraditional monetary policy)

と言うものがあります。

今回は特に、伝統的な金融政策について述べていきます。

 

 

伝統的な金融政策

伝統的な金融政策には

・公定歩合(official discount rate)

・預金準備率操作(cash-deposit ratio operation)

・公開市場操作(open market operation)

と言われているものがあります。

 

公定歩合とは(official discount rate)

中央銀行が民間銀行などの金融機関にお金を貸し出す際に適用する金利のこと。

 

現在では同じ意味で、

基準割引率や基準貸付利率とも呼ばれています。

 

期待される効果

そして公定歩合の操作で期待される効果は

・コスト効果(cost effect)

・アナウンスメント効果(announcement effect)

と言うものがあります。

 

コスト効果とは

公定歩合の変更によって、

民間金融機関の資金調達コストを変化させます。

そして、この変化を通して実体経済に影響を与える効果のこと。

 

例えば、

景気がよくない時、

公定歩合を下げて、

民間金融機関の資金調達コストを下げることで、

金融機関が中央銀行から資金を借り入れやすくなります。

すると、

金融機関は借りた資金を企業や個人に貸し出そうとする傾向が強くなります。

 

逆に、

景気が良過ぎる時、

公定歩合を上げて、

民間金融機関の資金調達コストをあげることで、

金融機関が中央銀行から資金を借り入れにくくします。

すると、金融機関は資金を企業や個人に貸し出そうとする傾向が弱まります。

 

以上の傾向を利用して、

実体経済に影響を与える効果そのものをコスト効果と言います。

 

アナウンスメント効果

企業や個人の経済の先行きや見通しなどに対する心理的変化を通じて、

実体経済に影響を与えるという効果のこと。

 

通常、民間金融機関は貸し出す際の金利を自由に設定できますが、

金利を短い期間に何度も変更すると、

お客さんの不満を買います。

 

そして、民間金融機関の金利は、

中央銀行の公定歩合に基づいて、

決められます。

 

そんな状況の中、

もし中央銀行が公定歩合を急に変えたりするなら、

民間金融機関はお客さんへの対応や損益分岐点が変わってしまいます。

 

そこで、中央銀行がたとえ公定歩合を変更しても、

民間金融機関はそれが長期的に続くことなのか?

それとも短期的なものなのか?

という予測をする必要があります。

 

そこで、

アナウンスメント効果の価値が期待されているのです。

 

例えば、

中央銀行が公定歩合を長期間下げると公言して、変更をします。

それに安心した民間金融機関は自分たちの金利も下げます。

 

逆に、中央銀行が公定歩合を長期間上げると公言して、変更をします。

それに対応して、民間金融機関は自分たちの金利も上げるでしょう。

 

この効果がアナウンスメント効果です。 

 

預金準備率操作(cash-deposit ratio operation)

企業や個人から民間金融機関に預けられているうちの一定割合を

中央銀行に預金しなければならないルールがあります。

それを預金準備率制度と言います。

そして、

その一定割合を変更すること、

それを預金準備率操作と言います。

 

預金準備率操作の効果

期待される効果は3つあります。

・アナウンスメント効果

・流動性効果

・コスト効果

というものです。

 

アナウンスメント効果は上記で、

公定歩合の時に説明した論理と同じです。

 

ここでは流動性効果とコスト効果について述べていこうと思います。

 

流動性効果

銀行には信用創造機能というものがあり、

実際に存在するお金以上に、

金融システムの中にお金を増やす機能があります。

そのお金を増やす機能への影響を通じて、

実体経済に影響を与えることが流動性効果です。

 

理解をするために、

まずは、銀行の信用創造機能というものを考える必要があります。

 

信用創造機能とは、

先に、前提を説明すると

「企業が銀行に必ずお金を預けるという前提の下、成立している概念」

「銀行は預金準備率分の金額以外の金額を融資に回し続けると考える」

ということです。

 

流れで理解するなら、

預金準備率が10%の時、

1:A企業が銀行に100万円を預金しました。

2:すると銀行は90万円(100*0.1=10万円)を貸出金額として使えます。

3:銀行は90万円をB企業に貸し出します。

4:B企業は銀行に90万円の預金をします。

5:銀行は81万円(90*0.1=9万円)を貸出金額として使えます。

6:銀行は81万円をC企業に貸し出します。

この流れが延々と続きます。

 

注意すべき点としては、

実際は、預金者からの要求があった時のために、

預金準備率とは別に払い戻せるように一定の割合のお金を

銀行に残しておく必要があります。

しかし、ここでは議論を難しくするので考えません。

 

以上の説明でわかる通り、

実際の100万円という金額から、

金融システムの中で出回る金額は100+90+81で271万円に増えました。

この金融システムの中で、

出回るお金を増やす機能を信用創造機能と言います。

 

ちなみに、最後まで計算すると、

金融システムに出回るお金は、

最初の預金が100万円だと考えると、

預金準備率が10%の時は1000万円(100/0.1=1000)。

預金準備率が5%の時は2000万円(100/0.05=2000)になります。

 

つまり、

流動性効果とは、

信用創造機能の強弱を調整し、

金融システムの中に流通するお金の量を調整して、

実体経済に影響を与えるということです。

 

コスト効果

簡単に説明すると、

預金準備率の引き上げは銀行にとってコストになります。

すると、銀行は貸し出せる資金が減ってしまいます。

 

例えば、

預金準備率は10%の時、

ある企業が銀行に100万円預金しました。

すると、銀行が使える金額は90万円です。

*(通常は預金者からの要求があった時のために、預金準備率とは別に払い戻せるように一定の割合で銀行に資金を残しておく必要があります。しかし、ここでは議論を難しくするので考えません。)

銀行は金庫や人件費などで5万円コストがかかるとします。

すると、銀行は最低でも90万円を貸し出す時、

金利を約5.56%以上(90*0.0556=5.004万)にしないといけません。

 

逆に、預金準備率が5%の時、

ある企業が銀行に100万円の預金をしました。

すると銀行が使えるお金は95万円です。

同じようにコストが5万円かかるとしたら、

貸し出す時の金利は、約5.26%(95*0.0526=4.997万)で済みます。

 

このようにして実体経済に影響を与えることが考えられます。

 

公開市場操作(open market operation)

公開市場操作とは、

金融市場で中央銀行が、

国債や手形などの有価証券を売買することによって、

マネタリーベースの量を操作し、

マネーサプライや金利を調整する金融政策の手段です。

オペとも呼ばれています。

 

では先に、用語の整理をします。

 

マネタリーベース(monetary base)とは

現金の通貨(実際に存在するお金)

民間金融機関が中央銀行に預けたお金の合計のこと。

 

つまり、

実際に発行しているお金の量ということです。

 

マネーサプライ(money supply)とは

民間金融機関と中央政府を除いた、

国内経済の企業や個人などの主体が保有する通貨の合計。

 

注意として、ここでは実際の現金としてお金を考えるのではなく、

信用創造機能によって増えているお金をイメージしてください。

 

つまり、

国内で企業や個人に使われているお金の合計のこと。

 

そして、以上のには書かれていませんが、

重要な概念を以下にご紹介します。

 

マネーストック(money stock)とは

中央銀行と民間金融機関全体から経済全体のお金の総量のことです。

 

つまり、

世の中に出回っているお金全部の合計のことです。

*現金も信用創造機能のお金も含めて。

 

小まとめ

以上、用語整理をしました。

というのも、公開市場操作は以上の3つの概念を使って、

お金の量を管理をしています。

詳しい管理の仕方は後日述べていこうと思います。

 

さて、ここで公開市場操作についてまとめたいと思います。

 

公開市場操作とは、

中央銀行が、国際や手形などを民間金融機関と売買することで、

民間金融機関のお金の量を増やします。

そして、

信用創造機能を活用して、

市場に出回るお金の量や金利を調整する金融政策です。

 

さらに、

買う時と売る時によって公開市場操作には名前がついています。

 

・売りオペレーション

中央銀行が銀行に国債などを売ることを言う。

つまり、代金が銀行から中央銀行に支払われ、通貨量が減る。

 

・買いオペレーション

中央銀行が銀行に国債などを買うことを言う。

代金が中央銀行から銀行に支払われ、通貨量が増える。

 

ちなみに、民間金融機関は日銀の要求を必ずしも受け入れる必要は無く、判断は民間金融機関がする。

 

公開市場操作の効果

 

この効果以下の3点があります。

1つは中央銀行が直接マネタリーベースを動かせること

2つは微調整が可能なこと

3つは迅速な対応ができること

 

1つは中央銀行が直接マネタリーベースを動かせること

公定歩合や預金準備率も銀行のコストを上下させることで、

お金の流動性を間接的に調整していました。

しかし、公開市場操作は直接市場に資金を供給できます。

 

つまり、

経済の動きに合わせてお金の量を管理できます。

 

2つは微調整が可能なこと

預金準備率操作は影響が大きく、微調整ができません。

しかし、公開市場操作は買いオペや売りオペの量を調整すれば、

簡単に調整が可能です。

 

3つは迅速な対応ができること

公定歩合や預金準備率は簡単に変更することができません。

しかし、公開市場操作は資産を売ったり、買った資産を売ったりすれば、

迅速に金融市場に影響を与えられます。

 

小まとめ

以上の3つの特徴を持っている公開市場操作は、

中央銀行が

アナウンスメント効果

コスト効果

流動性効果

を考える必要がなく、迅速に経済状況に合わせて、

金融市場をコントロールし、実体経済に影響を与えられます。

 

まとめ

まずはじめに、金融政策はその名の通り、

金融市場に影響を与える政策だということがわかったと思います。

 

そして、伝統的な金融政策には、

・公定歩合(official discount rate)

・預金準備率操作(cash-deposit ratio operation)

・公開市場操作(open market operation)

という手段があり、それぞれの方法によって、

金融市場への影響の仕方が違うことがわかったと思います。

 

これら手段の目標は

金融市場を通して、最終的に実体経済の調整を行うことです。

 

また、どの方法でも、

金利やお金の量を調整して、実体経済に影響を与えようとしています。

 

さらに、その効果として、

・コスト効果

・アナウンスメント効果

・流動性効果

などの考え方があることがわかったと思います。。

 

ただし、公開市場操作だけは少し異質で、

直接金融市場に介入するというものです。

国が直接民間の部門に介入するということがいいのか悪いのか?

ということは非常に大きな問題ですが、

後日そのことについては述べていこうと思います。

 

今回の伝統的な金融政策についての考察は以上となります。