この本を読んだ背景
個人的な問題意識ですが、最近、社会や組織の中でどのようにしたら良い評価をされるのかをよく考えています。これを言うと、「実力を伸ばす」とか「コネクション作り」が重要だと言われると思います。
けど、実際問題、「実力を伸ばす」ことに集中するだけで、周囲からの評価が得られますか?「コネクション作り」だけで評価が得られますか?ある社会、会社、組織では評価されるところもあるでしょうが、その組織から移動した際は、どうでしょうか?同じような評価基準で判断されるでしょうか?
そもそも、その評価基準は本当に「実力」だけを評価しているのでしょうか?
こう言うと、「運も実力のうち」とか言うでしょう。じゃあ、その運も含めた実力はどのように伸ばしていくのでしょうか?
今更、評価制度に公平さを求めるつもりもありません。僕個人としては、評価軸を増やしていくのに従って、矛盾する要素ペアも増えていくと思っています。真の意味で公平さを実現するのはマジで難しいです。
そこで、以下に個人的な問題を整理していきます。
評価制度についてまとめると、理想は様々なものがあると思いますが、少なくとも現実世界では、
- 「実力」だけでは評価されない
- 「コネクション作り」だけでは評価されない
- 「運」だけでは評価されない
となっています。
じゃあ、「現実世界では、どうしたら評価を上げられるのか?」
この問題に対して、僕個人はどのように対応して評価を上げていけば良いのか、戦略を立てて、実行していかなければいけません。
また、人は一人では生きていけないという当たり前のことを考えると、これは僕以外にも、起業家、経営者、会社員、個人事業主等全ての人にも言えることなのではないでしょうか。このように考えたので、勝手ながら今回の本を共有したいと思います。
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
この本の著者は「ふろむだ」さんです。ふろむださんは、社長を経験したり、上場を経験したり、いろんな業務を経験した、ブロガーの方です。
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』の要約
そして、本の内容を簡単に要約すると、
本のタイトル通りですが、、、
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
という主張に収束します。
この本では、「勘違いさせる力」を「錯覚資産」と呼んでいます。そして、「錯覚資産」の発現する際の、前提条件を簡単に話すと、
- 人の認知は錯覚しやすい
- 人は他人を錯覚して評価する
- 錯覚には特性がある
上記の前提条件を基に、「勘違いさせる力」を醸成していくことが必要であると主張しています。
次に、錯覚資産とは、以下の錯覚を利用して
(意図しているか意図していないかに関わらず)
- ひとつの能力が良ければ、他の能力も高いと錯覚する現象(逆も然り)
- 少数のサンプルから全体にも適用できると錯覚する現象
- 運を実力だと錯覚する現象
- 結果が分かってから予想していた結果だったと錯覚する現象
- 思い浮かびやすい情報だけ使って判断する現象(必要情報から判断したと錯覚)
- 複雑な状況下ではデフォルト値を選んでしまう(公平に選んだと錯覚)
- 現実と理想に矛盾がある場合、自分の解釈を現実に近づけて環境に適応する現象
- 好きなことにはリスクが少なく、嫌いなことにはリスクが多いと錯覚する現象
- 難しい質問を簡単な質問に置き換えて、難しい質問の答えだと錯覚する現象
- 一貫して偏ったストーリーの方が説得力があり正しいと錯覚する現象
他人に「すごい」、「優秀だ」等の自分にとって好都合な解釈してもらう抽象的資産のことです。
ただし、「実力」「運」が重要ではないとは1ミリも言ってません。むしろ、重要だと言っています。とはいえ、パフォーマンスに対する影響力は「錯覚資産」が一番大きいと述べています。
というのも、良いパフォーマンスを出すには、環境・実力・成果・錯覚資産のサイクルが大切ではあるが、そのうち、錯覚資産が最も重要な要素だと著者は考えているからです。
具体的には、この本の著者が考えるサイクルは
- 実力→成果→錯覚資産→環境→実力
- 成果→錯覚資産→成果
- 環境→成果→錯覚資産→環境
上記の3つがあります。これら全てのサイクルに、錯覚資産が含まれているので、錯覚資産を形成することが非常に重要であると言っています。
つまり、良いパフォーマンスを出して、評価されるためには錯覚資産を形成し、積み上げろってことを言っています。そして、錯覚資産を積み上げれば積み上げるほど、成功確率は上がり、相乗的に実力も上がるとも言っています。
ではどうやって錯覚資産を積み上げるのか?
錯覚資産の積み上げ方
端的に言うと、
- 錯覚の種類を豊富にする
- 錯覚の強度を上げる
- 錯覚の範囲を広げる
上記の3つで錯覚資産は積み上げられるということです。
ではでは、1つひとつ具体的にしていこう思います。
1.錯覚の種類
上記で述べた多くの錯覚の種類がありますが、この本では、特に1と5の錯覚を利用することが最強のコンビネーションだと主張しています。(1:ひとつの能力が高いと他も高いと錯覚、5:思い浮かびやすい情報で判断)
2.錯覚の強度を上げる
錯覚の強度とは、受け手にとって、どれほど魅力的な情報かという度合い、かつ、どれほど思い浮かびやすいかという意味合いでも使われています。
ひとつの例としては、「3年で1億円規模の事業を作った」という人よりも、「3年で100億円規模の事業を作った」という人の方が思い浮かびやすく、魅力的な情報だという感じです。(ビジネスマンにとっては)
3.錯覚の範囲を広げる
次に、錯覚の範囲を広げるということは、錯覚してもらう人数を増やすということだ。
また、人数だけではなく質も重要だと述べている。
先ほどの例を取り上げますが、「3年で100億円規模の事業を作った」という情報を1人が知っているよりも、100人、1000人知っている方が大きな錯覚資産になりますよ。ってことです。
質については、一般人の100人に知ってもらうよりも、有名人の100人に知ってもらう方が大きな錯覚資産になりますよ。ってことです。
その他
うまくまとめられなかったので、ここに突っ込みますが、錯覚資産の前提の話に戻すと、錯覚資産は結果から形成されます。そのため、まずは結果を生み出さなければいけません。
そこに対して著者は、「サイコロを多く振れ」と述べています。というのも、成果を出すには、実力も必要だが、運の要素が非常に大きいからです。だから、行動をしまくって、小さい成功体験(成果)を積み上げていくことが錯覚資産を積み上げるためのサイクルに必要なこととも述べています。
まとめ
錯覚資産がパフォーマンスを出す上で非常に重要な要素となっており、その錯覚資産を形成するには、まずは成果を出すこと。
成果を出すには、行動をし続けること。
次に、成果を錯覚資産につなげること。
そして、実力、成果、錯覚資産、環境のサイクルを回し続け、錯覚資産(もはや資本)を増やしていくこと。
こうすることで、将来的に圧倒的な成果が生み出せるようなる。
感想
錯覚資産っていう言葉で現実のモヤっとした現象を説明してくれていることに納得感があった。そして、錯覚資産を生み出すためには、先に成果が必要なわけだけど、最初の成果を出すには、行動をし続けるしかないということに同意。ということは、行動をし続けられる環境を構築することがまずは第一ステップかなと思った。
となると、人とのコミュニケーションって重要だよなと痛感しました。
次のテーマは、「好意を持ってもらうコミュニケーションとは?」とか「思い浮かびやすくするにはどういったコミュニケーションをとればいいか?」かな。