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【感想】『反脆弱性ー不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』、ナシーム・ニコラス・タレブ


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反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

 

 

反脆弱性ー不確実な世界を生き延びる唯一の考え方を読んだ方がいい人

反脆弱性を読んだらいいんじゃないかなと思う人は以下の通りです。

  • 一般的な未来予測に対する疑問を持っている人
  • 不確実性にはどうやって対処するのがいいのか悩んでいる人
  • 起業家の人
  • これから起業する人

読んだ方がいい人の対象が、基本的に漠然としています。なぜなら、この本自体、何か具体的な問題を取り扱っているわけではなく、不確実性という抽象的な問題をテーマにしているからです。

ただし、抽象的ということは様々な具体的な事象に応用可能な考え方でもあるということです。

何か行動に移しているけど、未来がどのようになるかわからず、不安を抱えている人も多いかと思います。

未来に対して完全なリスクヘッジをすることは不可能ですが、自分自身が前向きに未来の不確実性を捉えることで、変化を学習機会として捉えることができます。

変化を肯定的に捉えることを前提に、変化を通して何かしらの成果を得たいと考えている人にもオススメなのかなと思います。

ちなみに、文章そのものは少し冗長な感じ、煽っている感じもします。意味が分かる程度に重要なポイントだけ拾って読めば、あとは読み飛ばしてもいいような気もしています。

 

反脆弱性のまとめ

この本のメインメッセージは「現実の世界は変動性に満ち溢れており、その変動によって様々な主体は利益を得たり、損をするので適切な対応をしましょう。」というものです。

上記だけの説明だけだと、そりゃそうでしょ。。。って思うのでしょう。もう少し噛み砕いて要約していこうと思います。(かなり恣意的にまとめました)

反脆弱性とは脆弱性の反意語

この意味、分かるようで分からない人もいるかと思います。本書では変化が起きた時に、崩壊したりするモノや現象を脆弱性がある、脆いと言います。反対に、変化が起きた時に、強く耐えて、崩壊しないものを反脆弱性と捉えがちですが、違います。反脆弱性とは、変化が起きた時に、強度が増したり、成長したりすることを言います。本書ではこれを反脆い(はんもろい)と言います。

滅多に起こらないことは予測不可能という事実

まず、滅多に起こらないことは予測不可能という事実について言及しています。なぜなら、過去にデータがないからと言っても、将来まで起こらないとは言えません。見たことがないからと言って、証拠がないという意味にはならない、世間ではこの部分がよく勘違いされている。というようなことが書かれています。ただし、未来予測や計画性が全く意味のないものとまでは主張していないことに注意は必要です。本書では、滅多に起こらない良い出来事を正のブラックスワンと呼び、逆を負のブラックスワンと呼んでいます。

一定のストレスは成長の糧になる

当たり前といえば当たり前です。しかし、ストレスという言葉に過剰に反応してしまう場合、この事実を見逃してしまうこともあるでしょう。本書では一定のストレスは成長に有効であり、問題は慢性的なストレスを受けるといった状況だと言っています。理由は、精神的にも肉体的にも回復する時間を与えられないため、パフォーマンスがどんどん落ちていくからと言っています。

必要は発明の母

ストレスと同じような文脈ではありますが、何かしらの必要性が生ずる環境が何かしらの発明やイノベーションを産むということです。これはストレスという文脈で捉えると、個人レベルの話にも応用可能です。

不可逆性のあるものはリスクを抑える

不可逆性のあるものはリスクを抑える必要があります。例えば、死です。何か目的や目標がある場合、達成する前に死んだら、プロセスさえも意味がありません。(他者にとっては意味があるかもしれない)しかも、死のラインを一度超えたら戻ってこれません。同様なリスクは抑える必要があります。

変化によって適切な目標も変わる

当たり前ですが、世の中の変化に従って、企業や組織、個人は適切な目標や選択をしなければいけません。しかし、実際には、もともと立てた計画に振り回されて、正しい選択ができないということが多くあります。

変動性と安定性

変動性は長期的視点に立つと安定的であり、安定性を求めることは長期的には不安定となります。というのも、変動性は時間の推移に従って生じます。安定性は時間の中で、ある瞬間を切り取っているに過ぎません。また、反脆いという特徴には具体的な単体のモノや現象に対しても適用できますが、組織やシステム等と言った抽象的な主体にも適用できます。そして、組織やシステムの場合、反脆いという特徴を確保するために、部分は脆く、全体は反脆いという階層構造が自然の組織やシステムに見られことに言及しています。このような構造を持つことで、失敗を部分で抑え、全体に波及させないようにしています。

常に正しい判断は必要ない

選択肢の中で、常に正しい判断は必要ないが、自分に有利な結果を引き起こす選択肢を見極めて、結果に悪影響を及ぼすような選択を取らない理性的な判断の必要性について言及しています。

未来予測の技法

未来予測と言うよりも、何が正しいかを見極めるよりも、何が間違っているかを見極める方が簡単です。自分の求める行動のために何をやらないかを見極めることの重要性についても述べています。

信念と誓い

行動と言葉が一致している人が信用でき、反脆さを良い意味で手に入れられる可能性がある。

不確実性に対するやや具体的な対策

人生や判断の選択肢を持ち、その選択肢に優先順位をつけること。そして、変化の結果得られるであろう報酬に上限がないものを見極め、計画ではなく、変化に強く、実行し方向転換できる人に金銭的にも時間的にも投資をする。さらに、負のブラックスワンへの接触機会を減らし、正のブラックスワンへの接触機会を増やす。上記のことをできるだけ長く続ける。というのが僕が読み取った不確実性に対する対策です。

感想

今回この本を読んで、「本質的に不確実な世界では、死ぬようなことには手を出さずに、長生きして、チャンスがありそうな様々なことに投資し続けろ」っていうのが僕の言葉で出した解釈です。

これは社会レベルでも会社レベルでも組織レベルでも個人レベルでも言えるんじゃないかなと思います。

会社レベルであれば、全体で生存するために、部分的に小さなリスクを取り続けて、どかーんと大きな利益を狙いにいく。

組織レベルであれば、組織で生存するために、メンバー同士でそれぞれの役割で、新しい課題に取り組み、組織のパフォーマンスを大幅にあげる。

個人レベルであれば、個人で生存するために、幾つかのスキルを身につけて、幾つかのキャッシュポイントや他者から求められる状態を数多く作り出す。

それぞれのレベルで具体的に考える必要があるとは思いますが、反脆弱性を読んで「チャンスを掴むまで死ぬな」ってことを学べたのが一番大きな収穫だと個人的に思っています。

 

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

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