- Hot pepperのミラクルストーリーの要約と感想
- 「Hot pepper」は今までとは違う流れの中で生まれた
- 「Hot pepper」とは
- 「Hot pepper」の前身「サンロクマル」ではどのように失敗したのか
- 「Hot pepper」事業立ち上げの仕組み作り
- 「Hot pepper ミラクル・ストーリー」を読んでの感想・まとめ
Hot pepperのミラクルストーリーの要約と感想
この本は、「Hot pepper」のサクセスストーリーを基に、戦略の描き方から組織管理の方法そして、担当者までの具体的な戦略の落とし込み方を描いた本である。
Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
- 作者: 平尾勇司
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 19人 クリック: 342回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
この本の目次とは異なるが、あえて自分なりの言葉で各章を説明させてもらうと、以下のようになる。
「Hot pepper」は今までとは違う流れの中で生まれた
リクルートにおいて、Hot pepperがリリースされる前まで、サービスの提供モデルは松竹梅で言う所の松モデルでビジネスを展開していた。言い換えると、高価格で高付加価値の商品をクライアントに提供していた。しかし、Hot pepperを契機に梅モデルの低価格でターゲットとするボリュームが多いビジネスに転換を行った。これはリクルートとしては今までとは違う試みであり、挑戦であった。
単純に、責任感の有無や裁量権などの観点から考えると非正規雇用者を中心とした組織からこのようなサービスが生まれだすということは想像しがたい。しかし、驚くことに、Hot pepperは非正規雇用者から作り上げられたというサービスである。
そして、多くの企業はHot pepperのような事業機会が見えなかったのではなく、見なかった。言い換えると、機会はあるにもかかわらず、他者は見ようとしなかったということだ。これはどういうことかというと、多くの企業はマーケットを日本や都道府県に分けたとしても東京や千葉としか分けない。しかし、リクルートは東京23区や主要な駅付近までのマーケットを細分化することで、本当に重要なマーケットを選択し、優先順位を付けてリソースを投入した。このように他社は浅く考えていたところをリクルートは真剣に、深く、細分化して考えたところから、他社は見えなかったというよりも見なかったと姿勢の問題としても捉えられる。
「Hot pepper」とは
Hot pepperとは飲食店のクーポンを掲載し、購読者に対して、飲食店に送客を促すクーポンメディアである。ただし、購読とはいっても、ユーザーに対しては無料で配るため、クライアント側から対価をもらうというビジネスモデルのサービスである。
Hot pepperは2001年にサービスがリリースされ、4年後には売上高約300億円、営業利益約100億円という事業規模にまで拡大した。
このHot pepperというサービスの主な特徴としては、以下が挙げられる
・逆張り:当時のネットブームという中、紙媒体でメディアを制作したこと
・クーポン:クーポンを利用する習慣がない中、クーポンマガジンという雑誌を打出す
・型:商品の販売方法や成功事例を仕組み化し、サービス拡大を加速させた
・インデックス:インデックスを付けないことでインデックス掲載に価値創出
・目的:ビジョンや解決したい課題とメンバーの数字を紐付けた
このような仕組みを作り出せたのは、Hot pepper以前の「サンロクマル」というサービスでの失敗があったからである。以下で、「サンロクマル」における失敗について述べていく。
「Hot pepper」の前身「サンロクマル」ではどのように失敗したのか
- ビジョンと戦略の欠如
- シナリオ、ストーリーの欠如
- 実行していない
- 仕組み化という意識の欠如
- モチベーション設計の欠如
- 人材が集まる組織ではなく人材を集める組織だった
- 必ず勝つ風土のなさ
僕なりにまとめると、以上の要素が抜けていたり、欠けていたことにより、サンロクマルは失敗したと考えている。
「Hot pepper」事業立ち上げの仕組み作り
Hot pepperは日本全国に展開しており、多数の各地域で立ち上げ行っており、ノウハウを蓄積させてきた。
そのノウハウとは、以下の点が挙げられる。
・事業を数字で見つめ直し、原因を徹底的に追及する
・創業後の市場規模を現在と将来の市場から導出する
・数字を時間軸に置き直す
・創業シナリオを徹底的にブラッシュアップする
・ストーリーで説明し、メンバーのモチベーション設計を行う
・組織は顧客との接点が離れないようにシンプルにする
・戦略を分かりやすい文言に置き換え、実行し易くする
・成功事例及び成功要因を共有する
これらの点をリクルートなりに蓄積し、統合し、精度を高めていったことで各地域の主体が業績を向上させ、結果的に日本全国の業績を向上させていった。
「Hot pepper ミラクル・ストーリー」を読んでの感想・まとめ
大変失礼ではあるのだが、個人的に簡単にまとめると、「Hot pepper」が成功した要因は、以下の5点だと考えている。
- 目標と目的を切り分け、ストーリーでビジョンを語ったこと
- 資源を投入する領域を絞ったこと
- 徹底的に型を作り、数字で管理することで想像力や組織力を向上させ続けたこと
- 人材を集める組織ではなく集まる組織を意識したこと
- 戦略から組織や戦術をシンプルに伝えて、実行レベルまで落とすこと
逆に、「サンロクマル」と同じような戦略、戦術ではどのような企業や事業でも失敗するのではないかと考えられる。
- ビジョンと戦略の欠如
- シナリオ、ストーリーの欠如
- 実行していない
- 仕組み化という意識の欠如
- モチベーション設計の欠如
- 人材が集まる組織ではなく人材を集める組織だった
- 必ず勝つ風土のなさ
自分の会社や自分の事業が同じような状況になっていないか気をつけて、事業運営に関わって行きたいものである。というのも、たとえ、現時点で知っていようとも、組織の慣習等で無思考な状態となり、上記のような状況になっている恐れもある。これを防ぐためには定期的に時間をとって自分や組織を見つめ直す必要がある。
Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
- 作者: 平尾勇司
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 19人 クリック: 342回
- この商品を含むブログ (39件) を見る