目次
ゼロ金利政策(zero interest rate policy)とは?
ゼロ金利政策とは公開市場操作によって、
大量の資金を金融市場に供給し、
短期金利(具体的には無担保コールレート(オーバーナイト物))を
事実上の0%にまで低下させたために
ゼロ金利政策と呼ばれています。
ゼロ金利政策の目的は?
目的はズバリ、停滞している経済の景気を良くするためです。
つまり、経済成長及び物価の安定を目指しています。
では、理解するために、
以下で、用語を整理しましょう。
コールレートとは
金融機関同士の短期資金の貸借をする市場での金利のこと。
この短期資金の貸借りをする市場とは、短期金融市場のことです。
短期金融市場というのは金融市場の大きな分類の一つで、
短期金融市場以外に、長期金融市場があります。
短期金融市場(short-term monetary market)とは
1年以内の短期の資金のやりとりをするのが短期金融市場。
長期金融市場(long-term monetary market)とは
1年以上の資金のやりとりをするのが長期金融市場。
別名、資本市場やキャピタルマーケットと呼ばれている。
小まとめ
以上の短期金融市場と長期金融市場は、
お金を融通する期間の長さが1年以上か未満か?
と言う基準によって分類したものです。
コールレートが適用されている市場は、短期金融市場です。
さらに注意が必要なので、
以下の用語整理も行います。
インターバンク市場(inter bank market)
日本語では銀行間取引市場と呼ばれているが、
一般的にはインターバンク市場が使われている傾向がある。
この金融市場は銀行のみが参加し、
短期資金や外貨を取引する市場のこと。
そして、インターバンク市場には、
以下の3つの市場が存在する。
1:コール市場(call market)
2:手形売買市場(bill discount market)
3:東京ドル・コール市場(tokyo dollar call market)(日本の場合)
インターバンク市場について詳しい話は後日します。
今回は、簡単に説明します。
1:コール市場(call market)
金融機関のごく短期の資金(原則として1ヶ月未満)
の貸借りを行う市場。
呼べば答えると言う意味で、コールと言う名前がついているらしい。。。
コールレートとはコール市場の金利のこと。
加えて、
コール市場には、
有担保コールと無担保コールと言うものがある。
有担保コールとは
中央銀行が認める担保のもとに行われる取引です。
例えば、中央銀行からの借入の担保として国債などがあります。
無担保コールとは
担保を必要としない取引です。
また、
コール取引はその取引の契約の仕方によって、
3つに分類できる。
1:半日物取引
約定日に決済を行う取引。
2:翌日物取引
約定日に取り組み、翌営業日に決済を行う取引。
3:期日物取引
取組日・決済日を自由に設定できる取引。
以上が取引の分類だが、
とりわけ、無担保で担保なしで翌日には返済する取引のことを、
無担保コールオーバーナイト物と言います。
また、この時の金利を無担保コールオーバーナイト物金利と言います。
ちなみに、無担保コール翌日物とも呼ばれています。
2:手形売買市場(bill discount market)
翌日物から1年物の短期資金をやりとりする市場です。
加えて、
優良企業の発行する手形を割引の方法で売買して、
資金のやりとりをします。
*割引の方法とは手形割引の意味、以下で説明。
ちなみに、
中央銀行はこの手形売買市場で買いオペや売りオペを行います。
中央銀行が手形を売却することで、売りオペを行います。
逆に、中央銀行が手形を買い取ることで、買いオペを行います。
*実際は、手形以外にも国債を買ったり、
最近では、リスクのある社債や投資信託などの有価証券も買っている。
ここでも、簡単に用語整理をします。
手形(bill)とは
「決めた期日までに支払い」を約束した有価証券のこと。
つまり、本来支払うべきお金を後払いする約束。
手形割引(bill discount)とは
「代金の代わりに受け取った」手形を期日前に現金化すること。
自分の手形を誰かに買ってもらい、早めに現金化すること。
手形本来の額から手数料や利息を差し引いた額と換金できる。
3:東京ドル・コール市場(tokyo dollar call market)(日本の場合)
外国為替公認銀行間で短期の外貨資金貸借取引を行う場所。
この取引は、非居住者は参加できません。
代わりに、東京オフショア市場というものがあり、
そこでは、非居住者が自由に参加できます。
小まとめ
以上のように、インターバンク市場には、
1:コール市場(call market)
2:手形売買市場(bill discount market)
3:東京ドル・コール市場(tokyo dollar call market)(日本の場合)
の3つの市場があります。
これらに共通していることは1年以内の短期であるということです。
つまり、インターバンク市場は短期金融市場だということです。
さて、ここまで用語整理ができたところで、
次は、ゼロ金利政策が公開市場操作によって、
なぜ、コールレートが0になってしまうのかを考察していきます。
なぜ公開市場操作によってコールレートが0になるのか?
先に、状況を整理しましょう。
公開市場操作は短期を通して、
金融市場のお金の量や金利を調整します。
しかし、どうコールレートという金利を変動させるのでしょうか?
どのようにしてコールレートという金利に、
影響を与えているの考えてみましょう。
流れを考えます。
①中央銀行が短期金融市場の有価証券を買うと、
②様々な銀行に資金が貯まっていきます。
③すると、今までと同じ金利で貸していると、
④他の銀行は今までよりも安い金利で貸し出そうと頑張ります。
⑤結果、金利は全体的に下がっていきます。
以上の論理で金利が下がっていきます。
そして、コールレート(コール市場の金利)が一番市場の需要と供給によって変動がしやすい金利です。
中央銀行はこのコールレートの金利を指標に金融政策を調整します。
とりわけ、
無担保コールレート(オーバーナイト物)を指して調整します。
小まとめ
以上のように銀行同士の競争を前提に、
金融市場にお金をたくさん投入して、
金利を下げることがわかると思います。
まとめ
ここでゼロ金利政策についてまとめていきたいと思います。
ここまで金利の話しかしていないので、
「ゼロ金利政策の目的は金利を下げること」
のように考えてしまいがちですが、
目的はあくまでも実体経済のお金回りを良くすることです。
つまり、景気を良くして、経済成長や物価を安定させたいのです。
ゼロ金利政策の論理は、
ゼロ金利政策は公開市場操作によって、
コールレート(金利)を下げて、
企業や個人へ流れるお金を増やして、
実体経済でお金をいっぱい使ってもらうたいのです。
しかし、
実際はゼロ金利政策をしても、
景気が良くなっていない
経済が成長しない
などの問題があります。
この点については、後日述べさせていただきます。