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産業構造変化の要因について考察


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目次

産業構造変化の要因について考えてみることにします。

産業の構造変化はどのようなメカニズムで起きるのでしょうか?

今回は、以下の報告書をもとに考察を深めていきたいと考えています。

 

樹神・川畑 編『開発途上国と産業構造変化』調査研究報告書

アジア経済研究所、2014年、第1章 産業構造変化の要因:理論と実証

 

以上を参考にしていきます。

 

用語整理 

まず、言葉の整理から始めていきます。

産業構造とは産業には大きく分けて、農業、製造業、非製造業というものがあります。

これは別名、第一次産業、第二次産業、第三次産業とも呼ばれています。

さらに第三次産業(非製造業)を細かく分けると、金融・小売・卸売などにも分類することができます。

このようにある国や地域での産業の構成そのものを産業構造と呼びます。

そして、今回テーマにするものは産業構造の変化ですので、産業構造の構成比の変化について考えるとも言えます。

 

報告書について

先ほどご紹介した報告書では、

最近の理論研究は産業構造の変化の原因として消費の所得効果と相対価格効果の重要性を指摘しているとあります。

実証研究において、上記2つの効果の相対的な重要性を計量経済学的に検証する論文が発表されていることにも言及しており、今回の報告書では経済成長と産業構造変化の基本モデルを使って2つの効果と産業構造変化の関係を説明し、その他研究の紹介、及び成果と今後の課題について整理しています。

 

経済発展と産業構造に関する議論の起源

ウィリアム・ペティ(William Petty)

1691年に出版されたペティの著書『政治算術』の中で、当時のオランダの一人当たり所得が他のヨーロッパ諸国よりも高かったことを解釈するときに、ペティはオランダの人口の大部分が製造業や商業に雇用されていることに着目し、経済的に豊かな国ほど農業労働者の比率が製造業や商業よりも低いことを指摘した(クラーク、1953、374)。

コーリン・クラーク(Colin Clark)

1951年に多数の国・地域の産業別就業者比率のデータを使ってペティの仮説を分析し、その結果、経済が発展するにつれて産業構造が第一次産業中心から、第二、第三次産業中心へと移っていくことを明らかにした。この理論をペティ=クラークの法則と呼ぶ。

クラークの研究以後

Kuznets(1979)、Syrquin(1984)、Chenery,et al.(1986)、Timmer and Szirmai(2000)などが産業構造変化と経済成長の関係を分析している。彼らは産業間での生産要素の再配置が経済成長の重要な要因であることを実証的に明らかにした。

 

産業構造の構造変化メカニズム

クラークは2つの要因で十分に説明できると主張した(クラーク,1953,pp.409-410)。1つは消費者側の需要の相対的な変化、言い換えると、一人当たりの所得が上昇するにつれて、消費者の需要が相対的に第一次産業から二次、三次産業へと移っていくこと。もう一つは産業間の労働生産性成長率の差。つまり、クラークは農業の労働生産性の成長率が相対的に高ければ、農業からの労働力の移動が生じると主張している。

 

経済成長論からのアプローチ

1990年初頭から経済成長論の分野でも理論研究が進んでいる。例えば、Matsuyama(1992)、Kongsamut,et al.(2001)、Ngai and pissarides(2007)、Acemogle and Guerrieri(2008)、Alvarez-Cuadrado,et al.(2012)などがある。これらの文脈で言うところ、クラークが挙げた2つの要因はおそらく消費の所得効果と相対価格効果に分類することができる。

 

消費の所得効果とは

相対価格が一定の元で、消費にまわす所得(総所得)の変化が消費のもたらす効果。

つまり、だいぶざっくり言うと、給料は一定と仮定して、みんなの消費に使う金額の変化が消費活動に与える影響のこと。

 

相対価格効果とは

総消費が一定のもとで、相対価格の変化が消費にもたらす効果のこと。

それはつまり、消費に使う金額は一定と仮定して、給料と商品価格の変化が消費活動にもたらす影響のこと。

 

結論

結論に至るまでの論理は割愛します。。。

下記に報告書を載せますので、参考にしてください。

家計の効用関数と企業の生産関数の特性が経済活動の産業間シフトをもたらす重要な要因であることは間違いなさそう。

しかし、構造変化の要因については複数の説が存在する。現時点では実証分析データの蓄積が乏しく、どの説が正しいのかを判断することはできない。

また、工業化を終えた経済を対象にした論文なので、産業構造変化に対する完全な理解には繋がらない。

 

と以上が今回の報告書のまとめになります。

以下では僕の考察を。。。

 

考察

散々、理論がなんんちゃら、かんちゃらと言ったあげく、こういうのもなんですが、、、、、経済全体が金銭的に豊かになると、第一次産業から第二次、第三次産業への各資源の移動が起こるということですね。ここで言う資源とは、人、モノ、金、情報のことです。なんか、この動きはマズローの欲求の理論に当て込んで説明することもできるのかなぁとも思ったりします。最初は生理的な欲求を満たして、その後は、精神的な欲求を満たすことに向かっていく。人類全体でそんな動きがあることを知っておけば、発展途上国がどんな方向に成長していくかを大まかに予想することはできますね。けど、第三次産業に資源が集約した後の世界はどのように向かっていくのでしょうか?第三次産業だけでは人類に生活は送っていくことは困難ってこと、現段階の経済活動を今後も引続きしていくという流れの中で、自然環境問題という観点から不可能に近いので、結局は第二次産業と第一次産業への回帰が想像できるんですけど、人間は今の生活を失うことが怖いので、全体としてすぐに動くということは不可能でしょう。だから、人口問題や自然環境の変化によって人類の生活が危機的状況になってようやく、全体として動けるようになるんでしょうね。その時から対策して人類生存のために間に合うのかどうかは話が別ですが。。。僕自身としては、この動きに対して何かできることはないかなぁと考えています。

 

 

以下、参考文献

http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/2013/pdf/C28_ch1.pdf